消費者の価値観や生活様式を一変させたコロナ禍がようやく収束の兆しを見せ始め、経済が正常化に向かいつつある。世界情勢の混乱を背景に、コストプッシュインフレという新たな課題もあるものの、小売業の業績は回復傾向にあるといっていい。では、メーカーと小売をつなぐ中間流通を担う卸売業の業績はどう変化したのだろうか。本稿では、2023年の卸売業売上高ランキングを概観しつつ、食品卸大手各社の業績と今後の戦略を解説する。
23年の卸売業売上高ランキング上位150社では、117社が増収となった(ランキング掲載の業績は単独ベース)。なお、本特集では、上場企業など「収益認識に関する会計基準(新収益基準)」を適用した影響で業績の前期比較を公表していない一部の企業を除き、単純計算で業績の対前期増減率を求めている。前年のランキングとの単純比較はできないが、卸売業各社の業績はおおむね好調に推移しているといってよさそうだ。
売上高ランキングトップ150(1位~10位)単位:百万円、%※本誌調べ ※売上高・当期純利益は原則として単独数値。連結数値の企業は「連結」と記した ※売上高は営業収益を記載している場合もある ※対象企業には、メーカー販社、生鮮卸、共同仕入会社、卸売市場などを含んでいる ※取扱品目は、原則として帝国データバンクの産業分類(主業)に基づいているが、一部変更した企業もある ※「食品」には加工食品・生鮮・菓子・飲料・酒類・穀類などが含まれる。「その他」の分類の中には、雑貨・貴金属・タバコ・写真用品・ペット関連・花木などが含まれる ※売上高の前期比較増減について、基本的に前期と会計基準が統一されるとみなして、単純計算で増減率を算出している。ただし。上場企業など「収益認識に関する会計基準」の適用の影響が確認できる一部企業については増減率を修正している売上高ランキングの上位企業を見ていくと、顔ぶれはほぼ昨年からは変わらず、前年に続いて医薬品卸のアルフレッサ(東京都/福神雄介社長)が1位となった。以下、2~8位までは前年と同じで、2位が医薬品卸のスズケン(愛知県/宮田浩美社長)、3位が食品卸の三菱食品(同/京谷裕社長)、4位が同じく食品卸の日本アクセス(同/服部真也社長)、5位が医薬品卸のメディセオ(東京都/長福恭弘社長)、6位は食品卸の国分グループ本社(同/國分晃社長)、7位が医薬品卸の東邦薬品(同/馬田明社長)、8位が日用品卸最大手のPALTAC(大阪府/糟谷誠一社長)と続く。
9位は、主に「コカ・コーラ」製品を取り扱うコカ・コーラ ボトラーズジャパン(東京都/カリン・ドラガン社長)が昨年8位から順位を1つ上げてランクイン。10位は日用品・化粧品卸のあらた(同/須崎裕明社長)が昨年13位から順位を上げて新たにトップ10入りした。
売上高ランキングトップ150(11位~40位)単位:百万円、%※本誌調べ ※売上高・当期純利益は原則として単独数値。連結数値の企業は「連結」と記した ※売上高は営業収益を記載している場合もある ※対象企業には、メーカー販社、生鮮卸、共同仕入会社、卸売市場などを含んでいる ※取扱品目は、原則として帝国データバンクの産業分類(主業)に基づいているが、一部変更した企業もある ※「食品」には加工食品・生鮮・菓子・飲料・酒類・穀類などが含まれる。「その他」の分類の中には、雑貨・貴金属・タバコ・写真用品・ペット関連・花木などが含まれる ※売上高の前期比較増減について、基本的に前期と会計基準が統一されるとみなして、単純計算で増減率を算出している。ただし。上場企業など「収益認識に関する会計基準」の適用の影響が確認できる一部企業については増減率を修正している食品卸企業にフォーカスすると、150位以内にランクインしたのは73社。前年から4社減となったものの、全体の半数近くを占める。食品卸の
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